2018.7.17

セバスチャン・ローデンバック 公開講座第28回「コンテンポラリーアニメーション入門」

2018.7.17

セバスチャン・ローデンバック 公開講座第28回「コンテンポラリーアニメーション入門」


国立装飾芸術高等学校(Ensad)の講師で、アニメーション作家・イラストレーター、日本でも8月公開を控えている初の長編作品「大人のためのグリム童話 手をなくした少女」の監督であるセバスチャン・ローデンバック氏をフランスからお迎えし、第28回公開講座「コンテンポラリーアニメーション入門」では、「アニメーションの潜在的可能性」と題して、技法とアプローチ、モチーフもそれぞれ異なる代表的な短編3本の制作工程の話から、新作長編につながる「ウアニポ(潜在的アニメーション工房)」の活動を紹介し、その試作「詩歌・映画」連作シリーズの4本の上映も行った。「ウアニポ」とは、様々なルールや制限の中でアニメーションを作ることで、アニメーヨンの潜在的可能性を引き出す実験を行っているグループだ。セバスチャン氏が、一人で全てを作画した異例の長編作品の道を、ウアニポの活動が開いたことが分かるレクチャーで、ウアニポがアニメーションだけではく、創作者の潜在的な力をも開花させる可能性を示していると感じさせた。会場も満員で、熱気に包まれた講演だった。

学生向けワークショップでは、その「ウアニポ」のルールの一つである、「クリプトキノグラフィー」を使って、数秒の実作品の制作を行った。「クリプトキノグラフィー」とは、動画のそれぞれ1枚の絵では何が描かれているか分からないが、動きを伴うと何か描かれているか分かるという運動の暗号化だ。

また公開講座では紹介しきれなかった「クリプトキノグラフィー」の自作での応用と展開も、具体的な画像や映像とともに紹介いただいた。トリックを生み出す頭脳とアニメーションでの表現力と瞬発力も試される課題に、学生たちも苦戦しながら大いに刺激を受けた授業だった。

(山村浩二)

公開講座第28回「コンテンポラリーアニメーション入門」 7/8
来場者総数:110名
一般客数:103名
関係者数:7名

上映作品:「ヴァスコ」(2010)、「XI. パワー」(2013)、「ダフネー、またはいい女」(2014)、「詩歌・映画」連作シリーズ:「狩猟での事故」、「Osn [女の彼]」「Obet [オブェ]」、「右と左」(2014)、「大人のためのグリム童話 手をなくした少女」(2016)(抜粋)

学内ワークショップ 7/12
学生12名
教職員3名

学内ワークショップ 7/13
学生12名
教職員3名