2017.11.20

コンテンポラリーアニメーション入門第27回講座:ウェンディ・ティルビー&アマンダ・フォービス『個と世界』

2017.11.20

コンテンポラリーアニメーション入門第27回講座:ウェンディ・ティルビー&アマンダ・フォービス『個と世界』

世界中で30以上の賞を受賞し、日本ではサントリー天然水のCMを手がけていることで知られるカナダのウェンディ・ティルビーとアマンダ・フォービスを講師に迎え、「個と世界」をテーマに作品上映と解説を行いました。

1999年に制作されアヌシーグランプリ他を受賞した『ある一日の始まり』の上映の後、カットに込められた画作りのコンセプトや制作においての技術的な解説などがスライドを交えながら行われました。続いて同作の12年後に完成し、アカデミー賞ノミネートされた『ワイルドライフ』の上映が行われ、監督たちは出身地である西カナダの歴史と環境をリサーチし、それに基づいて歴史の中にある若者の人生と時代を奇妙で現実的に描写したことなどを説明した。

講義ではまた、来年より制作予定の短編アニメーションについての情報も明かされました。観客からも音楽や発想などについて多くの質問が寄せられ、作家のアイデアや思考に触れる貴重な講座になりました。

またアニメーション専攻内のワークショップでは、映像における視点の構築と提示の仕方を巡って展開しました。学生たちは特定の対象を選び、画面内にその存在を見せない形で、その主観的視点を通した絵コンテを描きました。


ウェンディ・ティルビー&アマンダ・フォービス / Wendy Tilby & Amanda Forbis


バンクーバーのエミリー・カー美術大学卒業後、カナダ国立映画制作庁(NFB)での個々の活動を経て、『ある一日の始まり』を共同監督する。同作はアカデミー賞短編アニメーション賞ノミネート、カンヌ国際映画祭短編パルム・ドール、アヌシーグランプリ、ジニー賞など30以上の賞を受賞した。NFBで制作した最新作『ワイルドライフ』も数々の賞を受賞し、2012年にアカデミー賞にノミネートされた。他にもさまざまな委託プロジェクト、テレビCMを監督しており、日本ではサントリー天然水のCMで知られる。フォービスは、子供のための多くのアニメーションワークショップを行い、87年から93年までバンクーバーのアートウンブラ子供芸術センターのインストラクターを務めた。ティルビーは、ハーバード大学とコンコルディア大学でアニメーションを教えており、07年から09年はロンドンのロイヤル・カレッジ・オブ・アートでアニメーションの外部審査員を務めた。