東京藝術大学大学院映像研究科アニメーション専攻 第十四期生修了制作展

Vision

Eyes are magical spheres that make up dreams and retain memories. In our eyes, the visions of the within and of the beyond overlap. New worlds come to be when our gazes meet.

制作秘話

この作品を作りたいと思ったきっかけ

この作品では、見るという行為の不思議さをテーマにしている。特に、それがどのように私たちの世界を形作っているのか、また、私たちはどのように世界を理解しているのか、ということを考えて制作した。
私たちの目が認識する視覚的な現実は、私たちの身体や存在を覆う一枚の布のようなものなのではないか。この布によって私たちは、互いの視点を理解することを妨げ、自分自身の視点に囚われているのかもしれない。しかし、目という器官を通して、お互いを見つめることで繋がり、目から目へと新しい視野が広がっていく。

苦労したこと

絵コンテ、映像の尺、はっきりしたストーリーや構成、サウンドなど、何も決めないままアニメーションを描き始めた。制作中、頭の中で小さな声が「こんな風に明確なゴールを決めないまま何時間もアニメーションを作ってるけど、最終的には全部無駄になっちゃうかもよ」と囁いていた。その声に苦められながらも、このプロセスで制作を進めることを選択した。

今までと違ったところと挑戦

初めて送り描きでアニメーションを制作した。また、これまでの自分の短編の中で一番長い作品になった。以前は、観る人が飽きてしまうことを恐れて、テンポの速い作品を作っていたように思う。本作もテンポの良い作品だが、この作品を初めて観る人の気持ちを理解し、共感できるようなタイミングに改善することができたと確信している。

次の目標は?

送り描きにより、潜在意識をアニメーションに反映させ、秒刻みで画面が絵で埋まっていくこのスタイルを今後も向上させていきたい。この作品で捉えたアニメーションのエネルギーはそのままに、もっとゆっくり、柔らかく、長い尺ものを作ってみたい。