第二期生修了作品|2010年度一年次作品
命を削って作ってきた暇つぶしのような記憶を昇華させたいと思い、ただ存在するだけの怪獣を消すために要領の悪い少女が様々な無駄な記憶で自分なりの前進をしようとするストーリー。
少女は魔女にこき使われている。ひたすらジャガイモの皮を剥く。嫌気がさした少女はそこから逃げ出そうとする。しかし魔女の魔法に阻まれてしまう。ここにいたらずっとこのままだと思った少女は魔女をやっつける決心をするが…。はなしの終わりで彼女は何を考えるのか。はたして少女のいとは?「覆水盆にかえらず」のひっくり返ったお盆を元に戻す話。
空軍の基地のある町。そこに住むある家族。主人公の「僕」に弟ができた。パパは基地でのお仕事が忙しく家にほとんどいないし、ママは弟にかかりきりで「僕」にはかまってくれない。「僕」は寂しさと嫉妬から、弟のお守りを隠してしまう。その日から、パパが家に帰ってこなくなってしまった。
廃墟で遊ぶ2人の高校生。奥の部屋から物音が聞こえ、1人が暗い部屋へと入っていく。そこには得体の知れない何かが潜んでおり、2人の高校生は心臓を奪われてしまう。その廃墟に立ち寄った幼い少年と妹は…。
白い世界に一人残された主人公。彼は、突然様々な場所から現れる素材から自分の世界を創り始める。家を作り、動物を作った。しかし彼には疑問があった。この世界にポッカリ空いた穴。やがてこの穴を中心に自分達が生きられる、境界線がある事を知る。
いきものたちは互いに食べつ食べられつつ支え合う、そういう自然のバランスの中で生きている。そんな中に一羽飛び抜けて巨大で凶暴な怪鳥が。その鳥はあまりにも凶暴で全ての生き物たちに恐れられていた…。万物は繰り返す、形を少しずつ変えながら。
パパに嫌われていると思っている男の子、チンク。じいちゃんだけは自分の味方だと信じていたのに、伸ばした手は撥ねのけられてしまう。ショックを受けたチンクは、巨大鉛筆よりも重い、重い、鉛筆で「こんな時間早く過ぎちゃえ」と願いグルグルと円を書く…。
机に向かって男が悩んでいる。男の片隅で小男も机に向かって悩んでいる。男は微動だにせず、何のアイデアも湧いてこない。小男はアイデアを捕まえようと奔走するが、男の中にいるはずのアイデアは捕まらない。一向にアイデアが捕まらない男達はどんどんと追いつめられていく。夜があけて、望みも失せた男はついにある一つの考えを思いつく。
木々が赤く染まる季節だった。子供の肢体の前で泣く女がいた。女は我が子の影をはぎとってしまう。「一緒にいたい」その思いだけで子を胸にいだき夜の街を走り抜ける。そして、我が子を失いたくないが為、彼女は黒い闇を背負った男とある約束をかわしたのだった…
男が窓から飛び出した。なぜ、男は自分の部屋から飛び出さなければならなかったのか。時間が遡り、彼の心の葛藤の謎が徐々に解き明かされて行く。男は一人で部屋に籠城し、自らが作り出す罪悪の幻影と、脳裏に焼き付いた赤い肌の男の存在から逃げ回っていた。男の暮らす建物には無数の標本が飾られており、どの標本にも意味深い名前が付けられていた。
テクストを使った映画、あるいは映画としての書物を通して、見ることと読むことの間に立ちたい。幼少期にワイルドの「幸福な王子」を翻訳し、後に20世紀を代表する文学者となったJ・L・ボルヘス。全盲になってもなお口述で作品を発表し続けた偉大な芸術家にこの作品を捧げたい。
"BONNIE"は風のようなもので、「ぜんぶ、吹き飛んでしまえばいいのに」と思うのであった。
家族の為にお煮しめを作るお母さんと、それを横でみている子ども。具材となるのはきぬさや、にんじん、ごぼう、こんにゃくなどの動物たち。さぁ、おにしめ おたべ。
こんな生物がいるのです。空の上に。のけ者にされている一人のおじさんと地上に迷い込んだ一匹の「アリ」。おじさん!お願いを聞いて! おじさんの「アリ集め」が始まります。
ある夜の、帰省渋滞での出来事を、こどもの視点から描く。
イルカのイメージから繋がっていった物語です。
森の中で少年は鳥をスケッチしていた。 鳥の羽にはブツブツした斑点模様がちりばめられている。少年は次第にそのブツブツ模様に魅入られて…
海の上に街が発生し、草が宿った。以来、草は小さくしたたかな生命を無限に繰り返している。草が自らの身体を使って、その街で知覚したものの一生分を凝縮し演じ、おどる。
ダンスが好きだが才能がない少女。「才能」とは付加的なものではなく「欠落の補完」。すぐに枯れしぼんでしまう「花」を美しく咲かせ続ける事が大切なのである。
日本のとある村で、六十年間、商店を営むおばあさんがいる。 彼女はこの今村商店に嫁ぎ、女手一つで店を守りながら、今日という日々を生きてきた。
ある女性が医師に妊娠している事を告げられる。思ってもみない告知に驚き、彼女は煩悶の中へ。妄想か幻覚かの間で浮遊する。 玉響(たまゆら)の夢は儚い夢。
いないいないばあをしていたばあばはもういない。そのかわりに見知らぬ人があらわれ子供と近付いてゆく。いないいないばあは記憶の練習、そして相手を直視すること。
舞台は、タンゴの生演奏が楽しめる贅沢なレストラン。料理も接客も申し分無く、誰もが満足間違い無しである。ところがある客の訪問によって、その平穏は揺るがされることとなる。
雪山で猛吹雪に飛ばされた男は、暖かい家に帰りたい。
スーツ姿にブーツを履いた一人の男が、目の前の美しい海を見ていた。男は疲れ果てていた。物語はこの男の人生を徐々にさかのぼってゆく。