制作秘話BEHIND THE SCENES
オクトポリスOCTOPOLIS
![オクトポリス](../../img/completion/Gra25_3222356_YAMAMOTO_Nao_still01.jpg)
オクトポリス、それはタコが築いた文明である。住民は日々ドーナツを食べ、ちくわの中で眠る。そして彼らはこう信じている。世界の要素はドーナツの穴であり、全ては吸盤に帰結する、と。
OCTOPOLIS is a civilization created by octopuses. The inhabitants live on donuts and sleep inside chikuwas (fishcake tubes). They perceive themselves as donut holes and feel a deep urge to fill that void and become suckers, the embodiment of wholeness.
1999年生まれの京都出身。2020年、コロナ禍をきっかけに本格的にアニメーション制作を開始。2022年に同志社女子大学学芸学部メディア創造学科卒業。大学院入学以降、常にオクトポリスのことを考えている。
Born in 1999 and raised in Kyoto, Japan. Since 2020, animation has been my medium of choice. I graduated from the Department of Media at Doshisha Women's College of Liberal Arts in 2022. Since entering graduate school, I have not stopped thinking about OCTOPOLIS.
制作秘話
この作品を作りたいと思ったきっかけ
大学院に入学した当初、私はオリジナルの宗教を作るつもりでした。吸盤ってなんだか人の悪い部分を吸い取りそうだなと思い、吸盤を免罪符とする架空の宗教を考えました。そして吸盤を持つ生き物といえば…タコ!ということで、吸盤教、改めオクトパス教の構想を練り始めました。(もしこのときイカを先に思い浮かベていたら、今頃タイトルは「イカノポリス」になっていたことでしょう)
私の修士一年次作品「オクトポリス -プロローグ-」(2023)では、そんなオクトパス教の起源を描きました。当初のプランでは修了作品で宗教の核の部分を作品にする予定だったのですが、なにせ3年間ずっとオクトポリスについて考えていたため、気付けばアイデアは宗教を超えて社会全体まで広がっていました。
苦労したこと
作品の意味やらメッセージなどを考えぬまま先に世界を作ってしまったため、映像のまとめ方を1年半悩みました。作品をどの程度まで鑑賞者に理解してもらおうか、でもオクトポリスの仕組みをわざと見せるような説明口調の映像にはしたくなかったので、あくまで自然体のタコ、オクトポリスになるよう意識して制作しました。
今までと違ったところと挑戦
制作環境が大きく変わり、過去の作品よりも遊び心マシマシになりました。昨年の夏から半年間エストニアに留学し、そこで受けた授業やカルチャーショックの中で価値観が変わりました。以前から制作する際は既成概念にとらわれないよう意識していましたが、それでも無意識のうちに「こうだからこう」という凝り固まった思考ルートがあったことに気付かされました。本作品は、子供の頃に戻って人形遊びをするような感覚で、映像の隅っこになんとなーく小さな動きを足してみたり、刺繍のカットを入れてみたり、その場の思いつきを楽しみながら制作しました。
次の目標は?
いつか、どれだけ小さくても四畳半とかでもいいので、自分の作品に登場する世界の遊園地を作りたいです。そこで匂いを嗅いでみたい。
最後に一言
パチュトゥピ!(オクトポリス語のあいさつ)