制作秘話BEHIND THE SCENES
霞始めてたなびくVeils of Landscape
山中 千尋YAMANAKA Chihiro
東風が吹き、しみずあたたかさをふくむ。風景は境界をこえ混ざり合い、やがて山は眠る。
As the east wind begins to blow, bringing warmth to the water, landscapes spill and blend together. In time, the mountains drift into a slumber.
神戸芸術工科大学卒業。イラストレーション専攻にて制作した風景画をきっかけにアニメーション制作を始める。東京藝術大学大学院映像研究科アニメーション専攻修了。
Majored in illustration at Kobe Design University. Inspired by the landscape paintings made during the program, Yamanaka began creating animation. Received master’s degree from the Department of Animation at Tokyo University of the Arts Graduate School of Film and New Media.
制作秘話
この作品を作りたいと思ったきっかけ
境界のない世界への憧れと、映像でできる絵画表現とは何かという追求でできた作品です。
タイトルの「霞始めてたなびく」は、七十二候という1年を72の季節に分け言葉にしたうちの一つです。2月のあたたかくなり始めた頃、山が霞がかっていく情景から名付けたそうで、美しい言葉だと思いました。
他にも七十二候には、燕が渡ってくる季節、霜が降り始める季節、虹が見え始める季節などに名前がついています。
普段見ている風景は、そういったさまざまな現象が、山にかかる霞のように重なり合いできているのだと感じました。
苦労したこと
完成させることです!
今までと違ったところと挑戦
映像の中で絵の具を思いっきり動かしたい!!という思いがありました。一部のシーンでは、これまで1秒間あたり12枚描いていたのを、1秒間あたり50枚くらいに増やして描いて重ねて、絵の具混ざれ!!という気持ちで作りました。
次の目標は?
「どう見せようか」「どう完成させようか」などの自分自身の意識が入り込まず、ずっと描いていたらいつの間にか完成していた、というようなアニメーションを作ってみたいです…
最後に一言
今回の作品は、関わってくださっている方たちのお陰で作れた作品だと、過去これまで以上に強く感じています。
無事に上映まで辿り着けて、周りの方たちに感謝の気持ちでいっぱいです。